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ものづくりをやっていていつも心に念じていることがある。それは、『自分と他人を比べるな』『他人の目で評価するな』である。世に数多く発表される作品の中には自分に無い個性、目を見張る技法や技術、雄大な作品、精密な造形など、見ているだけで気遅れがしてしまう凄いものがいっぱいある。もちろん私も私なりに満足の行く作品は作っているつもりなのだが、そういった優秀な作品を目の当たりにすると自分のやってることが実に稚拙で思慮思想の無い取るに足らない凡作に映ったりするものだ。またそのような作家は輝かしい学派や経歴などをプロフィールに掲げていることが多く、こうした肩書を武器に一流のアートを提示しているアーティストに無学な私如きが同じ舞台で勝負に出る価値があるのかどうかと言う劣等感に苛まれたりもするのである。
ただ、こうも考える。ものづくりは同じ土俵に立っているのでは無い。学校のように同じ素材、同じテーマのもとにそのアイディア、技術技法を競うなら優劣も付けられるかも知れないけれど、私が出そうとしている発表の場は自由な発想で様々な表現を求めている展覧会だと言うことである。そもそも勝ち負けでは無いのだった。アートが一部の職業作家だけに与えられた活躍の場だとしたら、それはそれで閉鎖的なアカデミズムに陥って、拡がる可能性を失わせてしまうだろうし、まだ見ぬ個性の目を潰す世間と隔絶された面白みの無いシーンに成り代わるのは当然である。プロもアマチュアも関係無く楽しめる開かれた展覧会で全力を出し切って評価を問う私の何が悪いと言う考え方だね。
素材には拘っている。以前作った立体作品同様、今回も材料は身の回りにある廃材や100円ショップで購入出来る安価なもの。紙粘土、木の板、シュレッドされた紙切れ、そしてコーヒーの粉、などである。塗装はアクリル、そして研磨剤はこれも100円ショップで買ったサンドペーパーだ。別にお金を掛けないことを自慢している訳でも無いし、理由は単なる資金不足であるが、安ければ何でも良い訳では無い。私が求める造形の基にするにむしろこうした安価な素材を吟味して使用することで、普段見過ごしていたアート的で無いものに目を向け、新しい息吹きを与える喜びをも見つけた点でとても重要であると考えているのだ。
未だ見ぬ完成の晴れ姿。最初に思い付いたこの造形から徐々に拡大し、発展してきた今回の紙粘土細工は、次第にかたちになるに従って一つの方向性が見えてきた。出来上がりにはまだ暫くの猶予があるが、決して手間暇を惜しまず、先を急ぐこと無く、しっかりじっくり仕上げて行きたいと考えている。必ず良い作品をモノにして、来たるべき発表の舞台ヘ挑戦してみせるのだ。

A Song For Japan

日々の創作日記とお気に入りの音楽など。日常と非日常を行き来する奇妙な世界をお楽しみ下さい。

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