Heliogabalus

アントナンアルトーの小説『ヘリオガバルス〜戴冠せるアナーキスト』は難しかった。歴史小説とも、評伝とも、創作とも付かないタイトルに相応しいまとまりの無さで、しかも天才的狂帝の生き様を肯定も否定もしない醒めた目線に白けた空虚さが支配していたのを思い出している。ここでは主人公の異常性癖と支離滅裂が作者アルトーの拡大解釈とモザイクのように絡み合い、連続性の無い物語の展開と相まって読んでいる私を混乱させたのであった。やりたい放題の短い在位のあと残虐極まりない方法で母親とともに斬殺された狂帝ヘリオガバルス。その死に様にすら良し悪しを言わないアルトーのヘリオガバルスを読んで、読書の意義目的まで問いただされているような気分になったものだ。
この絵はヘリオガバルスとは直接関係が無い。ただ描き進むうちに湧き出してきた異常性癖のアイディアを昔読んだアルトーのヘリオガバルスと重ね合わせたのであった。初めて描いた性的な創作画で、世間で異常と呼ばれている性的妄想を絵にしたものである。もともと性に関することはあまり人前でおおっぴらにする類の題材では無いと思うが、これはその中でも、

漆黒の闇は絶望的な破滅の色、上から射し込む僅かな可能性を求めて彼はじっと待っている。それが儚い夢に終わろうとも、自らを奈落の底ヘ落とし込む深みの罠であろうとも彼は彼なりの悦楽を感じてひたすら待つ道を選ぶのである。

結論の出ない冷たい恋の物語。

ただそれだけを感じてこの表題を拝借したのであった。

A Song For Japan

日々の創作日記とお気に入りの音楽など。日常と非日常を行き来する奇妙な世界をお楽しみ下さい。

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