Retro

知らず知らずのうちに、若かりし頃に最先端だった文化が何時しか過去の遺物となり、曖昧な記憶とともにセピア色に色褪せて行くのを感じると、自分がすでに時代から取り残されつつあるように感じて、いたたまれない気持ちに襲われることがある。昭和生まれの私にとってレトロとかロマンとは明治大正を指すものであった。だから最近とみに聞かれるようになった昭和レトロは懐かしさはあっても骨董的価値まであるように思えず、実感に乏しい呼び方にしか聴こえ無かったのだが、確かにこれからを生きる世代の人達にとってはメディアや伝え聞く程度の関わりしか持たない昭和文化に珍しさや古き良きものの匂いを感じることがあるかも知れない。ここに描いた素描は私の青春時代からはもう少しばかり逆上ったモノクロが美しい時代の世界である。もともと白地に肖像が浮き出ている何時もの描き方で仕上げた作品だったのだが、思うところがあって背景を木目板にして対比させてみることになった。その理由とは正に昭和レトロである。木目板は幼い頃、毎晩就寝前の布団の中で見上げていた天井板そのもののイメージであった。幼心に天井板の木目に様々な想像力を働かせて空想の世界に遊んでいたのである。今はほとんど体験出来なくなった天然木の自然な造形。夜な夜な飽きずに木目を追って楽しんでいたあの記憶は一生忘れることは無い。あの自然とともに生きていた昭和と言う時代が残した郷愁なのである。

A Song For Japan

日々の創作日記とお気に入りの音楽など。日常と非日常を行き来する奇妙な世界をお楽しみ下さい。

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