In Production

肌を撫でる西風、放心する季節。
私の素描はモデルに似ていないことが最大の特徴となる。実在の人物を描いても生まれながらにして私のオリジナルなのだ。似せて描けない欠点、好みの顔立ちへ思い入れを注ぎ込む悪癖がその主な要因だが、今にして考えてみるとそれはそれで良いと思えてくる。私の究極の目標は作品に共通する自分の顔だからだ。竹久夢二やマリーローランサンと比べるのは余りにおこがましいけれど、私の創る表情は昔も今も憧憬なのである。
髪は数え切れないほどの線の集まりである。それらが流れる波を作り、跳ね上がり、縺れて複雑な陰影を作り出す。本来は髪の毛一本一本を様々な方向へ描けば描けそうなものなのだが、手の動きには限度があり、多分に髪はその動きの範疇には収まらないのが普通である。ロングヘアならなおさらで、それを無理に引き伸ばして描こうとしてもかえって自然なし上がりにはなってくれない。結果短い線の集まりを重ね合わせることになるのだが、幸い髪は殆どの場合髪同士で絡み合っているため継ぎ接ぎによる描き方が可能なのだ。
今回のテーマは初夏の風にしたい。柔らかな髪がそよ風に吹かれてなびいているように。描き進むうちに微妙に表情やこなしが変化して行く様を見ていただきたい。例によってモデルより線の細い性格になリそうだ。似ていないことが私の短所でもあり長所でもあるので、気にすることなく丁寧に仕上げたい。

A Song For Japan

日々の創作日記とお気に入りの音楽など。日常と非日常を行き来する『北村工女』の奇妙な世界をお楽しみ下さい。

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