Waiting

待つ人のかたちは美しい。待つことは時間を費やすことである。特に立ったまま一箇所に留まるのであればその人のもっともリラックス出来る体勢がいちばん身体に優しい。膝を曲げたり脚を出したり腕を組んだり腰を曲げるとか俯くとか、とにかく自然に時間と相対している。気取っている訳でも無ければ人に見せようとしている訳でも無い。あくまでそれがその人の自然体なのだ。格好付けるのは格好悪いのを自覚しないで背伸びをすることだ。だが私達はそれを知ってか知らずか少しでも人に良く見られようと不自然な自己満足に浸ろうとするものである。
夕暮れ近いとある雑居ビルのエレベーター前。女性が時々周囲に目をやりながら一人佇んでいる。空虚な場所でもそこに一人待ち人が居るだけで風景そのものにまで物語を語り出すから不思議だ。もしそこが現代的なら場所ならわくわくするこれからの夢を、レトロな場所なら深い想いのしっとりした叙情を。何処の誰かも知らないままその場を通り過ぎては行くのだけれど、待つ人がこれから描くであろう人間模様に心惹かれて、想像と言う隠し味が無味乾燥な平日の夕方に彩りを添えてくれるのである。

A Song For Japan

日々の創作日記とお気に入りの音楽など。日常と非日常を行き来する『北村工女』の奇妙な世界をお楽しみ下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000